東裏館1丁目にある乗蓮寺の本尊、木造阿弥陀如来は国指定の重要文化財です。本尊というのは、お寺の中心にあって、みんながお参りする最も大切な仏像(仏様)のことです。阿弥陀如来は阿弥陀様とも言い、悩んだり、苦しんだりしている人たちを助けたり救ったりしてくださる仏様と言われています。
乗蓮寺の阿弥陀如来は、三条市ではただ一つの国指定の重要文化財でもあります。全体が黒ずんでいて時代の古さと気品が感じられます。今から700年近く前の鎌倉時代の終わりころに作られた仏像ではないかと言われています。国宝に指定されたのは大正15年(1926)ですが、昭和25年(1950)に、文化財保護法という法律によって、国指定の重要文化財となったものです。

重要文化財というのは、芸術的にも歴史的にも非常に価値が高いすぐれた建造物や絵画・ちょうこくや古い記録などのことで、乗蓮寺の阿弥陀如来はちょうこくの部に入っています。では、どうして乗蓮寺にこのようなすぐれた仏像があるのでしょうか。くわしいことは分かりませんが、乗蓮寺は徳治2年(1307)に創建されたと言われ、はじめは須頃地区にあったのが、後に現在の東裏館に移ってきたということです。
乗蓮寺は、三条市内ではただ一つの時宗という宗派です。時宗は一遍という人が開祖で、熊野信こう(和歌山県地方の古い信こう)に関係があり、裏館も熊野地方と何か関係がありそうだとも言われています。知っているのは乗蓮寺の阿弥陀如来だけかもしれませんね。(平成7年2月)
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